終わったはずのプレイ日記がなぜ!? いや、いろいろ語りたいんですよ。それくらいイース4という作品は、僕にとって、13年前からずーっと特別なものなのです。(制作発表自体は発売より前に行われてるので、それ以来という意味です。)
・・・今回はプレイ日記じゃなくて、ストーリーの要点を整理する意味も込めて、ちょっとした、浅はかな考察を行います。
もちろん、容赦なくバレとるで。
○アイテム
●6本の聖剣
レファンス王と五忠臣がそれぞれ振るった聖剣で、実は「太陽の仮面」を封印するために、エルディールが6人に与えたもの。
エルディールの言によれば、大河の村セルレイで造られたようです。
それぞれ、各地に散らばる五忠臣の墓(同時に神殿)と峠の頂上にあるレファンス像に安置されており、古代都市の封印を解く鍵にもなりました。最後の戦いでは、全ての聖剣を使って古代都市の中枢を破壊します。
その後どうなってしまったのかは不明。おそらくは魔法の力を失い、美しい普通の剣になったのでしょうか。
旧作のうち、PCエンジン版イース4における魔法の杖と、SFCでの魔法の剣(炎風の剣、激光の剣など)両方の役割を兼ねていますね。
●「7冊目のイースの書」
プレイヤーが手に入れるものではありませんが、冒険のきっかけとなる重要な存在。
その正体はイースの書ではなく、銀で飾られた呪文書にすぎませんでした。
アドルがセルセタ行きを決心した直接の原因(ストーリーの導入役)であるとともに、各街・村で「魔導書を持った謎の人物」のうわさ話が聴けることか、中盤までの牽引役でもあったようです。
が、これはやや失敗しているように見えます。
しかし、僕はこの手に入らない(そして結局はニセモノだった)アイテムこそ、今回のもっとも重要なキーアイテムだったと考えています。
他にもいろいろあるけど、今回書きたい内容に関係するのはこれくらい(ぉ
○白き伝承と黒き伝承
セルセタに伝わる、有翼人にまつわる伝承。有翼人を善なるもの、神の使いいや神そのものとして語り継ぐ「白き伝承」と、悪なるもの、人間たちに敵意を持ち、その優れた文明の利器によって滅ぼそうとした(そしてレファンスと五忠臣によって倒された)ものとして伝える「黒き伝承」。
互いに正反対と言って良いこれらは、PS2版イース4の新しい設定のなかで特に重要なものです。
ゲーム中の描写や風景を見る限り、ほとんどの土地では黒き伝承が正史として信じられており、白き伝承は、聖域に仕える高原の村ハイランドにのみ伝わってたようです。
ところで、黒き伝承は大筋においてSFC版の設定と似ていますねw黒き伝承は実は誤りであったことが次第に明らかになっていくのですが・・・
しかし、もちろんそんな皮肉(だと思う)だけではなく、PS2版の物語の中で大きな意味を持っています。
○闇の一族
「闇の一族」という名称自体は、原案段階では設定されていなかったようです。旧作ではPCエンジン版の設定と言うことになるのですが、その時は「セルセタにかつて君臨した暴君、殺戮王アレムに与したものたちの末裔」という設定でした(アレム自身の子孫だったかどうか、ちょっと自信ナシ)。
原案やSFC版においては、彼らは単に「3悪人」や「3人の魔道士」といった感じで、名称のやる気のなさ同様にそのルーツや目的はいまいちつかみきれませんでした。
ここまで踏まえておいて、PS2版においても「闇の一族」という名称が使われていますが、その意味は「ロムン帝国の部隊の名前」と意表をついたものになりました。
ロムン帝国が、侵略した国々から魔法の素養がある子供達を集め、過酷な条件下でさらに殺し合いまでさせて、生き残った者達だけで構成されたという悲しいエリート部隊です。
グルーダ、ガディス、バミーの三人の心には、それぞれ重く辛い過去とロムン帝国への恨み、そして世界への逆恨みと強い仲間意識(単純なものではないけど)がどろんどろんに渦巻いています。
この「世界への逆恨み」-まあ、語弊は大いにあるんですが-こそが、PS2版イース4においてのもっとも重大な要素であり、物語の根幹を為す重大なテーマなのです。
○PS2版イース4の、物語の主題
いきなり結論を書いちゃうと、PS2版イース4の物語というのは「過去の呪縛と不幸の連鎖を克服する物語」だったのだと思います。これらから生まれるのが逆恨みというわけ。カーナがアドルやフレアに抱いた感情もそう。
彼女は今回のメインヒロインとして結構キツイ役割を与えられています。
さて、過去の呪縛と不幸の連鎖とは一体なにか?
これは、実はそれぞれが複数あるのだと思います。
●セルセタの人々
セルセタの古代文明そのものと、黒き伝承。
黒き伝承の実態は、人間達の側で起こった身勝手な(しかし無理もない)誤解によって生まれたものであり、歴史の真実とは真逆と言ってよいものでした。
800年あまりの時を経てなお村々の間にわだかまりを残しているのですから、もともと古代セルセタの殆どの人間達が、有翼人と神器を誤解し、反目していったのでしょう。
その背景にあったのが太陽の仮面です。
本来はエルディーン水没の恐怖がさめやらぬ人間達のために、万が一に備えて造られた「太陽光を集めて海をも焼き尽くす神器」でした。しかし第二のエルディーン水没は起こらず、次第にその恐怖も薄らいでいった人間達のために有効に使おうと、神器は太陽光を集めるという性質はそのままに、一種の気候操作システムとして利用されていくことになります。
太陽をおだやかにほほえませる、という意味から「太陽の仮面」と呼ばれるようになったのですが、心ない一人の人間がこの機能を狂わせたことでセルセタは崩壊への道を辿ります。
しかし人間達は自分たちの非を認めず気づかず、もう一つの神器であった「黒真珠」(イース1・2のあれです)を太陽の仮面から遠ざけさせ、双子の女神(もちろんアレです)と6神官がセルセタから去るという結果になりました。
黒真珠が無くなったことで太陽の仮面は暴走に向かい、セルセタの半分を焼け野原にしたときも、人間達は残っていた有翼人(エルディール)が人間を滅ぼそうとしたのだ、と噂しますが、エルディールはそんな人間達をまだ見捨てず、レファンスと五忠臣に聖剣を授け、太陽の仮面を湖底に封じたのでした。
しかしそのことは多くの人々には伝わらず、結果的には誤りの歴史である黒き伝承として、セルセタのほぼ全土で脈々と語り継がれていきました。
以上は、セルセタに住む人々にとっての「過去の呪縛と、不幸の連鎖」です。
白き伝承を伝えてきたハイランドにとっても、他の村々からの孤立という不幸が代々受け継がれていますし、その過去から続く確執に呪縛されているのです。
そして、ストーリーの舞台であるゲーム中の「現在」もまた、古代文明の遺産を狙う勢力によって荒らされ、多くの命が失われています(その中にはカーナの弟レムノスが居たわけで、カーナは物語のヒロインとして悪役サイドと善玉サイド両方の心情をプレイヤーに伝えるという役割が与えられた)。
各地に点在している有翼人像はそのまま二つの伝承を象徴します。
エンディングに登場する有翼人像が全て「白き伝承」の五体満足の像になっていたことは、そのまま不幸の連鎖が断ち切られ、セルセタの人々が伝承の呪縛から解き放たれたことを表しているのです。
(無論、オープニングの最後に頭と腕の無い有翼人像が映し出された理由もお分かりになると思います。)
●グルーダ、バミー、ガディスとブラトス
もう一方の「過去の呪縛と不幸の連鎖」の体験者は・・・そう、闇の一族とブラトスです。
・ブラトス
ブラトスはもともとロムン帝国での魔法研究の権威でした。彼は闇の一族を束ねる機関の長でもあり、善悪はともかくとして、高い地位を持った人物であったことは確かです。
が、魔法の研究で大きな失敗をしたことでその地位を追われてしまった、ということがゲーム中で語られます。
その失敗とは、「アドルがエステリアでしたこと」が原因でした。
つまり、ブラトスが研究していた魔法というのは、黒真珠の力によって生まれた魔法だったのでしょう。魔力の源であった黒真珠(その化身である魔王ダーム)がアドルによって倒され、女神達によって人間の世界からは無くなったことで、魔法の研究はたちゆかなくなったのだと思われます。
このことで「アドルを憎んでいた」というブラトス。
ところで、黒真珠はセルセタからエステリアへと運ばれたものであることが、作中で明らかになります。
ブラトスの不幸は元を辿れば古代のセルセタへ行き着くのです。
そして彼の不幸とは、研究の成果を得られなかった(あるいは失った)ことだけでなく、魔という「人間にとっては早すぎた力」に魅入られてしまったことに始まっていたのでしょう。
そのブラトスによって光ある人生を奪われた被害者が闇の一族達でした。
(これを不幸の連鎖と言わずして何と言おう?)
闇の一族はブラトスを恨み、ロムン帝国を恨み、やがて自分たちの行う殺戮や非人道的な行為の数々をも正当化するようになります。キャラクターごとにその形は違っていても、PS2版イース4の物語の根底に流れるものがなんとなく見えてきた気がしませんか?
グルーダ、ガディス、バミーの三人には強い(そして複雑な)仲間意識がありました。
・ガディス
姉を失った過去から、グルーダとバミーを自分の兄姉と慕うガディスの過去は、おそらくは村の口減らしのために、愛する姉によってブラトスに売られた、というものでした。
その現実を受け止めることが出来ず、ガディスの心の中で姉の死が捏造されます。
そうして失ったのが姉ですから、バミーにはよくなついていたのでしょう。しかしバミーがそれをウザがっていた、というのも彼女の口から開かされます(^^;
ガディスは「ロムン帝国を倒し自分たちのような悲劇を生み出さない」という信念と、グルーダ・バミーへの強い仲間意識(家族愛と言って良いと思います)に突き動かされる一方で、その自分たちが見知らぬ誰かの命を、人生を、家族を奪うという矛盾をどこかで感じていたのでしょう。リーザへの一言が持っていた優しい響きや、己の過ちを認めながら、グルーダとバミーのために殉じた最期の場面によく現れていたと思います。
・バミー
バミーは捨て子だったところを保護され、闇の一族として育てられたといいます。
「今となっては両親に感謝している」という台詞もありますし、リーザを塔から突き落としたり、レムノスを魔物化させて、彼が苦しみの中で村の仲間達を血祭りにあげるのを楽しんだ、など、闇の一族3人の中では特に非道な印象が強く描かれていました。
しかし、彼女を動かしていたのはガディスと同じ、強烈な仲間意識(やはり家族愛と言って良いもの)でした。
家族全員を殺されたグルーダのために、自分がグルーダの永遠の家族になる。ロムン帝国への復讐を済ませたら・・・とそう語るバミーには、非道さだけではなく、善悪の外にある究極の母性(とでも言うべきもの)を感じます。
「永遠の」って言葉を付けてるあたりがいいですね。いろいろ妄想しちゃいますわ(^^;死が二人を分かつまで、ではない。死でもってすら分けられない、そんな絆を与えようとする。そしてそれは、グルーダが何より絆を求めていることを察している、ということでもあるのでしょう。
「自分の幸せのために他人を不幸にする」ことを「あら、いけないの?」と言い放つ彼女ですが、行動の非道さの裏には「グルーダのためなら」という言葉が隠されているのです。
そのバミーに訪れた終わりは、精神の崩壊でした。
人間を魔物に変え(作中で魔物に変えられたブラトスは、それを「永遠の苦しみ」と表現している)そのさまを楽しんですらいた彼女は、自らが魔物と化してしまい、戦いの後で人の姿は取り戻すものの、こころを失います。
それは当然の報いであったのかも知れません。報いとは、罪に対してどこからか巡り巡って訪れるもの。
そう考えると、彼女は連鎖してきた不幸を一身に受け止めたキャラクターとも言えます。
・グルーダ
物語の最後に明かされたグルーダの過去は壮絶なものでした(この場面はとにかく、グルーダ役の声優さんの演技が素晴らしかった!)。
父の命を救うために禁を破って魔法の力を行使したことが元で、巡り巡ってブラトスに全てを奪われたグルーダ。
ブラトスへの恨みは三人の中でもひときわ強かったのではないでしょうか?
そして、彼にとってバミーとガディスはかけがえのない仲間だったに違いありません。ゲームの冒頭の場面で、「自分の分を超えた事はするんじゃない」、みたいな事を言っている場面がありました。僕はてっきり、あれはポーズで、本当は二人の事を駒としか考えない非道なヤツに違いない、と思っていたのですが(旧作のイメージがあると、結構そう思っちゃう・・・よね?)、クリアしたときにはこいつのことが大好きになっていましたね(笑)
三人の中でグルーダだけが旧作と全く異なったイメージのデザインになったのは、キャラの内面を象徴してのことだったんだろうと思います。
話を戻します。今回、最初の方でアイテムについて書きましたが、あの「7冊目のイースの書」を持っているのがグルーダです。
実は単なる呪文書であったこの本、物語の中で「過去の呪縛と不幸の連鎖」を象徴する存在として扱われています。
グルーダにとって、最大の恨みの対象であったブラトスが虚栄心で造らせた本。それを(ゲーム中では)常に持ち歩いているグルーダ。この本は、いわば魔法研究者としてのブラトスの証です。であるならば、闇の一族を統率する者としてのブラトスを象徴するものでもあったのではないでしょうか?
グルーダにとってそれは、忌むべき過去の象徴に他なりません。そして、優れた才能を持っているとはいっても常にこの呪文書を用いて魔法を行使するのは、その過去の呪縛から逃れられずにいることの象徴なのです。
そんな本を「イースの本」と呼ばせているのは、物語の導入としての必要性や、正体との意外性というだけの意味合いではなく、イースの国の不幸な出来事を意識させるためのからくりでもあるのでしょう。
そしてそれは、「過去の呪縛」「不幸の連鎖」を象徴するこの本こそが、それらを打破するための鍵となることをも暗示しているのです。(つまり、イースがアドルによって、人間の欲望が生み出した魔の脅威から解放されたことそのものを伏線として扱っていると言えます。)
また、グルーダもアドルのことはそれなりによく知っており、「お前はまるで光の子だな」「私はお前が嫌いなのだ」と発言。これは、ストーリーの重要な要素である「逆恨み」の1つです。
そして、彼に訪れた終わりは・・・
●物語の結末
考察をうたうからには、触れないわけには行かないでしょう。
戦いの後、アドルとグルーダはどうなったのか。あのときアドルは何をしたのか。
まあ、これはすぐ分かると思うんですが・・・「とどめを刺せ!!」と迫るグルーダに近づいていったアドル。
そして剣の音。
あれはグルーダが持っていたあの本を斬ったに違いありません。
アドルのふるう剣が古代都市の中枢(セルセタの古代文明そのものであり、長きに渡ってセルセタに伝わってきた過去からの呪縛の象徴)を破壊し、同じように、グルーダ達を呪縛してきたものを象徴する(グルーダにとっては、まさに呪縛そのものが形を為したと言える)本を叩っ斬ったのです。
なんともスジが通っていて、まっすぐでスカっとする展開ではないですか。やっぱり鬱なのはいけませんw
そしてグルーダは、アドルからバミーが生きていること、しかし、既に一人では生きていけないことを伝えられたのでしょう。彼はアドルへの反感や確執のことよりも、バミーのことを考えたのに違いありません。
彼はそういう男なんですよ(笑うところ)。
バミーの願いは叶いましたが、それを願った彼女は、もういません。しかしいつか、彼女の心が帰ってくる日が来ることを信じたいです。アドルというキャラクターはそういう男のはず。だからプレイヤーである僕たちも、彼になったつもりで信じようではありませんか・・・。
(呪縛が断ち切られたからには、不幸の連鎖にも終わりは来る。上の方でバミーを「連鎖した不幸を一身に受け止めた」と書いたけど、それもいつかは・・・。)
・古代都市
ゲーム中では、グルーダの場面の直後がもう船の上、ですので、旧作のように古代都市の崩壊は描かれません。
動力源を失ったからには、湖の上空からは落ちていったのだと思いますが、上手い具合に再び湖底に沈んだのでしょう(^^;
アドルとグルーダはちょうどいい感じに湖に飛び込んだとか(英伝5のラストみたいに)、そもそもあの古代都市には墜落になんらかの備えがあったのかも。有翼人が作ったモノですから、それでもおかしくはないと思います。
・カーナ
順番としては本当は最後に持ってくるべきじゃないのかも知れませんが、今作のメインヒロイン、カーナについても少し書いておきます。いいかげん長くて僕も疲れてきました(ぉ
物語上のカーナの役割というのは、自分の身をもって「呪縛」や「不幸の連鎖」を体験してプレイヤーとアドルに見せてくれることと、それを乗り越える(のを見せてくれる)ことです。
抽象的な言い方で断言して逃げ切りを狙っているように見えますが、そういうわけではなくて(^^;
まず、登場したときのカーナは「黒き伝承」を信じています。
これは、彼女もまた、過去からの呪縛にとらわれている一人であるということです。
行方不明の弟を案じ、ちょっと調子のいいところがあって、正直で優しくて気が強くて・・・と魅力的なヒロインとしての印象をしっかり植え付けた後で、一部で不満を呼んでる「人殺し!」が来るわけですねw
(余談だけど、旧作でも5でも6でもアドルは普通に兵士と戦ってます。人を殺したことはあるのでしょう。)
レムノスが行方不明となったのは、闇の一族によって魔物に変えられたためでした。
レムノスは他にさらわれた人々を解放する代わりに、自分が魔物にされてやる!と申し出たのですが、魔物に変えられた彼は血の涙を流しながら、同胞を皆殺しにしたということがバミーの口から語られます。
そのレムノスをアドルが殺し、コモドの村やカーナは深い悲しみにくれることになりました。
そしてカーナは、アドルに、フレアにまで「逆恨み」の感情を抱きます。
これは、古代セルセタの人々が有翼人に抱いた感情であり、バミーたちが他者に抱いた感情であり、ブラトスがアドルに抱いた感情です。
そして、フレアがアドルとプレイヤーに示したのは、感情に流されず、本当に必要なことを見据える、という理性のはたらきでした。
カーナは怒り、悲しみ迷いながら、次第に落ち着きを取り戻します。
ただしそれはまだ危うい落ち着き。これが無力感として現れたことを示すのが、雨の中でのアドルとの再会シーンだったのでしょうね。
「あんたも、あたしも、あいつらも」許せないと言うカーナは単身聖域の城に忍び込み、そこでブラトスがバミーの恨みによって、魔物に変えられてしまう場面を目の当たりにしたのです。
これが彼女の心に火を付けることになり、まあブラトスにあっさり倒されちゃうんですけど、本当に戦うべき相手をここで見据えることになりました。
ただし、この時点ではアドルへの逆恨みはおさまっていないと思います。
本当にそれが晴れるのは、もちろんブラトスが人間に戻り、魔物に変えられる苦しみを語り、アドルに感謝を述べるのを見てのことなんでしょう。
そしてブラトスの自刃には、その理不尽な最後に怒りを募らせたのに違いありません。
この「魔物に変えられた人は永劫の苦しみを味わっている」という設定にも深い意味を持たせてあるような気がします。これは書いてて思いついたことなので今回は割愛。
この場面以降、またカーナが頼もしい?サブキャラとして登場、アドルともちょくちょく行動をともにしますね。
そして、レムノスを魔物にした憎きバミーが、自業自得とは言え魔物になってしまい、さらには自我を失ってしまう。そのバミーを地上に連れ帰るというフレアに「手伝って」と言われ、カーナはしぶしぶとはいえ了承しています。
このシーンは、恨みという不幸な感情、それが連鎖することは何も生まない、悲しいことなんだという意味なのでしょう。もちろん、「弟の死」という悲しい過去に呪縛されず、それを乗り越えたという場面でもあります。
もしもカーナがアドルへの逆恨みを捨てきれなければ、おそらくレムノスの死は彼女の未来をも呪縛する過去となったはずです。そして、バミーを生かしておこうとは思わないでしょうね。
エンディングはほぼ全て、カーナの独白(手紙)によって進行しました。
こうやってカーナの心の動きを物語のテーマを仮定し、そこに当てはめながら見てみると、あのエンディングの必然性がはっきり見えてくるでしょう。
「あなたの行動が、きっとどこかで誰かを救っている。それは今ではなく、過去かも知れないし未来かも知れない。
そしてあなたがこの先幸せを感じるときは、それはあなたの知らない誰かのおかげなんだ、と考えてみて欲しい。」
手紙は、大体のところをまとめるとこんな内容ですよね。
これは、再三書いてきた「不幸の連鎖」の真逆の考え方といえるでしょう。
白状しますと、エンディングのカーナの手紙から考えていって「作中の不幸は連鎖している」と思い、それを生み出しているもの(として描写されたもの)の正体は「過去からの呪縛」である、というようにして「イース4」のテーマを導き出してみました。
では、悲しい過去からの呪縛を断ち切り、不幸の連鎖を止めるものとは一体なんなのでしょうか?
単純に言えば「ポジティブシンキング!!」てこと。何も恨むなかれ。
「なんだ、安っぽい」と思われるかも知れません。しかし、今回のイース4ではさまざまな形で憎しみ、誤解、逆恨みなどが描かれました。だからこそ、「憎んではいけない、誤解したままではいけない、逆恨みはしてはならない」ということにも説得力が生まれるでしょう。
そして、それがテーマならば、なんと正しいことか。本当に、本当の正当派。
「ジョジョの奇妙な冒険」でいうところの「黄金の精神」を感じますw
・まとめ
こういう物語は時に青臭いと言われます。しかしそこには紛れもない普遍性があるはずです。
人は時にそれを感じ取りながら、「青臭い」と言ってみたり、一種の気恥ずかしさを覚えてしまうことがよくあります。おそらく、少年時代に少なからぬ人が実体験しているでしょう(女性はどうなのかね、僕は男だからよくわからない)。
だから、ちょっと話がずれるけれど、今の「少年漫画」とかは悲しいと思う。本当の意味での「少年漫画」は、少年達にこそ読んで貰いたい、メッセージを受け取って欲しい、という熱意に貫かれた作品は・・・
当の少年達からは「青臭い」と敬遠されることが多々あるから。
僕は少年という歳では無いですよ、ええ。
しかし、僕は普遍的な感動を含む物語を体験して、感動しない人間にはなりたくない。
そうなることはある意味で精神の死だと思う。
逆に、そんな姿勢を指して「少年の感性」「幼稚な思考」と言う人も少なからずいるでしょう。ですが、本当に何も感じずに、たださげすみ笑っている人たちが・・・・果たしてどれだけいるものか?
人類が創作を覚えてからずっと、脈々と受け継がれてきた様々の古典には受け継がれるだけの理由があった。
僕は、コンピュータゲームがそういった形に昇華される日がいつか来ることを本気で信じています。
人間は素晴らしいものを生み出せる生き物なのだから。その人間が覚えた、新しい表現の形なのだから。
だからこそ、「ゲーム」の中で物語を語ろうとする作品にもそうした普遍性を、人間の心に生き続けるものを求めていたい。
「イース」シリーズにはそれがあると思います。
だから、僕は「イースIV マスク・オブ・ザ・サン -ア ニューセオリー-」に覚えた感動を恥じることはありません。
このゲームがあと20年、50年、100年残るものか?たぶん違うでしょう。
でも、そういったゲームが現れる下敷きにはなると思う。作り手が熱意を失わず、遊ぶ側が素直に感動できる心を持っていれば、ですけどね・・・。
で、客観的に見れば総合的には並程度の「イース4」ひとつでこれだけ語れる自分はやっぱり大馬鹿だと改めて思うのであったw
あと、やっぱり僕はイースが大好きなんだなあ、と。
・おまけ
ドギですが、出てこなくても良かったような。
エンディングではきっと船室で飲んだくれてるんでしょう(笑)
最後まで読んで下さった方、本当にありがとうございました。
Recent Comments